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旭川地方裁判所 昭和49年(わ)99号 判決

本籍

北海道士別市上士別町一六線南三番地

住居

同市東六条六丁目

会社役員

野田武

昭和一一年一月一一日生

本店所在地

前同市東六条六丁目

野田砂利有限会社

右代表者

野田武

右被告人および被告会社に対する各法人税法違反被告事件について、当裁判所は、検察官日浦力、弁護人水原清之出席のうえ審理し、次のとおり判決する。

主文

被告人野田武を懲役五月に、被告会社を罰金三〇〇万円に処する。

被告人野田武に対し本裁判確定の日から二年間右刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告会社は、北海道士別市東六条六丁目(昭和四八年八月三〇日までは札幌市北区新琴似二条四丁目)に本店を置き、砂利採取販売等を営業目的とする有限会社であり、被告人野田武は被告会社の代表取締役であるが、被告人野田において被告会社の業務に関し、被告会社の法人税を免れようと企て、売上げの一部を除外し、架空経費を計上して、簿外預金を設け、被告人野田の個人資産に混入する等の方法により所得を秘匿したうえ。

第一、昭和四五年九月一日から同四六年八月三一日までの事業年度の所得金額が二、五六七万二、八五五円で、これに対する法人税額は九〇一万九、〇〇〇円であつたのに拘らず、右法人税の申告期限である同四六年一〇月三一日までに、札幌市東区北一六条東四丁目所在の所轄札幌北税務署長に対し、法人税の確定申告書を提出しないで徒過し、もつて不正の行為により右の法人税九〇一万九、〇〇〇円を免れ、

第二、昭和四六年九月一日から同四七年八月三一日までの事業年度の所得金額が二、五一四万四、九八九円で、これに対する法人税額は八七六万四、〇〇〇円であつたのに拘らず、同四七年一〇月三一日所轄札幌北税務署長に対し、所得金額が、一、〇〇九万六、一四八円で、これに対する保人税額は三二五万一、六〇〇円である旨の虚偽の確定申告書を提出し、もつて不正の行為により右の法人税の差額五五一万二、四〇〇円を免れ

たものである。

(証拠の標目)

一、被告人の当公判廷における供述

一、被告人の検察官に対する各供述調書

一、被告人の大蔵事務官に対する各質問てん末書

一、次の者の検察官に対する各供述調書

原美智子、野田東亜子、野田ツル、園部みよし、(悌津夫こと)下田鉄夫、中津川実、丹野忠男、溝口義勝、橋詰雅昭、青山忠勝、高嶋友勝、寺内盛雄、村上久子、坂本ヒロ、作田稔、小林曻、吉沢清吉、園部政雄、清水静

一、次の者に対する大蔵事務官の各質問てん末書

野田真澄、森山武一

一、野田勇の上申書

一、次の者作成の各答申書

佐藤輝男、岩佐昭二、猪瀬登千、野村遼三、長島正次、奥原務、笹沼恒夫、坂本ヒロ、舘野浅次、古磯清吾、林巴、室本信吉、奥田朗、原一弘、野田真澄、野田勇、園部政雄、大古場秀雄、原美智子、桜田美子、臼窪明美、片山信夫、福西照子、佐々木六郎、櫻井金平

一、「査察事件連絡せん」と題する書面

一、捜査関係事項照会(回答)書四通

一、次の者作成の各証明書

梅津勉、愛沢喜昭、永渕修、佐藤嘉明、上西浩、皆川治一、芦原繁、橋本政実、水口純一、小林昌弘、徳中五郎、小町正勝、高木昇

一、「預金取引等の証明について」と題する書面

一、「法人事業税の課税状況について(回答)」と題する書面

一、大蔵事務官作成の各調査事績報告書

一、大蔵事務官作成の銀行(店舗)調査関係書類三部

一、税額計算書二通

一、登記簿謄本一四通

一、押収してある次の各証拠物(押収番号はいずれも昭和四九年押第四六号で、括弧内に該符のみ記載)

法人税決議書一綴(1)、野田砂利有限会社フアイル(2)、経費明細帳二綴(3、8)、仕入帳及び元帳一綴(4)、未払補助簿一綴(5)、売上帳二綴(6、10)、元帳一綴(7)、仕入帳一綴(9)、銀行勘定帳二綴(11、12)、当座預金帳一綴(13)、手形受払帳四冊(14ないし17)、買掛帳一綴(18)、領収書綴二五綴(19、20、22ないし44)、袋入領収書綴一綴(21)、領収書等綴一綴(45)、栃木県高島重機の経費水増原始記録一綴(46) (法令の適用)

一、判示各所為

被告人野田武につき法人税法一〓条(懲役刑選択)

被告会社につき同法一六四条一項、一五九条

一、併合罪加重

被告人野田につき刑法四五条前段、四七条本文、一〇条(犯情の重い判示第一の罪の刑に法定の加重)

被告会社につき同法四五条前段、四八条二項

一、刑の執行猶予

被告人野田につき刑法二五条一項

よつて、主文のとおり判決する。

(裁判官 久米喜三郎)

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